- 村上あずささんへの質問:Studio SWINEは日本とイギリスの影響を融合させていますが、このプロジェクトを通じてご自身のアジア的伝統とのより深いつながりを見ることはできますか?
私にとって、仙台箪笥とは時間を旅する装置です。アンティーク、もしくは歴史と関わりのあるものを通じて、過去と繋がっている感覚が好きです。「変わらないためには変わり続けなればならない」というのは『山猫』の有名なセリフです。
私たちの目標は、これらの作品が現代的と見なされた歴史的な瞬間を真に捉えることでした。この試みには、何世紀にもわたって職人の手によって受け継がれてきた古い技術や伝統を用いながら、新鮮さを放つものを創り出すことが必要です。
- Studio SWINEお二人への質問: この工芸の歴史的なレガシーは、あなたたち自身の独特のデザインの精神とどのように共鳴していますか?
私たちはよく自分たちを合成者と表現しています。私たちのプロジェクトでは、よく、異なる既存の要素を合成して新しいものを作り出すということをします。たとえば、非常に現代的な海洋プラスチックという素材を使用しながら、伝統的な海の工芸品である船のスツールを作ったりします。仙台箪笥の場合は、木工、漆、手作業の金属加工の3つの伝統的な工芸の組み合わせです。
- Craft x Techプロジェクトにおいて、仙台箪笥の伝統的な枠組みに現代のデザイン言語を融合させることをどのように乗り越えましたか?
私たちにとっては、仙台箪笥の本質を識別し、それに忠実でありながら新しいものを作ることが目標でした。仙台箪笥を定義するものは3つの工芸だと言われました。しかし、私たちは、それは仙台箪笥に向き合うときに得られる本質的な感覚とは異なると考えました。
仙台箪笥の、伝統的に四角くしっかりとした構造には、まるで宝物箱のような重みがあります。この特性は全体の印象を高め、何か重要な意味のあるもの — 大切な家庭の財産を抱えているかのようです。私たちはこれと同じ感覚を、よりミニマルで時代を超越したモダンな美的感覚をもって、呼び起こしたいと考えました。
- 現代のデザインのルールを仙台箪笥の伝統的な技法と融合させる際に、具体的な発見や予期せぬハードルはありましたか?
6代続く会社、そして国宝である職人と一緒に仕事をする際には多くの責任が伴います。彼らのスキルを最大限に活かしたいと思いますが、同時にバロック風、もしくはその日本版のような、あまり華美なものは作りたくないと思います。
- あなたのデザインが観客に伝えたい具体的なメッセージは何ですか?
私たちのデザインは特定のメッセージを伝えることを目指していませんが、むしろ独特の感覚を引き起こすことを目指しています。独特の感覚とは、仙台箪笥の精神や日本の美学の本質を捉えながら、バウハウス、イタリアのラディカルデザイン、メタボリズムといった原則との親和性を忠実に保つということです。それはつまり、文化的なルーツと、我々が影響を受け大切にしてきたデザイン精神の双方を感じ取るような経験をしてもらうということなのです。