Interview with Artisan Keita Sato

Interview with Artisan Keita Sato

2024.4.1

(Collaboration)

  1. サビーヌ・マルセリスとのコラボレーションを通じて、現代的なデザインの要素を取り入れたことをどのように捉えていますか?また、それは川連漆器という伝統工芸品にどのような課題や機会をもたらしたと思いますか?

800年続く川連漆器は、武具に漆を塗ったところからスタートしています。現代での主力商品は主にテーブルウェアが中心で、売り上げの柱はお椀です。生活に根付いた実用漆器を目指してきましたが、逆に言うと「これぞ川連漆器」というものがないことが課題でもありました。どうしても売上に注目してしまうため、新たな取り組みには消極的な思考になってしまいますが、今回はサビーヌのデザインにトライすることで、今まで携わってこなかったカテゴリーに足を踏み入れた感じと、川連漆器の特徴である花塗りを活かした作品になるのではないかと感じています。

  1. 今回のコラボレーション作品を制作する上で、川連漆器の伝統的な製法を保ちながらも、現代的なデザインの融合を可能にするため、どのような技術や工程が取り入れられたのか、あるいは改良・工夫がなされたのかを、具体的に教えてください。

サビーヌのデザインは新しいカテゴリーへ踏み込むチャンスをくれた事だけでなく、川連漆器の塗の特徴である花塗りを活かしたデザインになっており、我々の技法を守りながら新たな市場への挑戦となっております。

  1. サビーヌ・マルセリスのデザインのアプローチや視点のうち、川連漆器という伝統工芸に変化させる上で、最も興味がそそられた要素、または困難だったことは何ですか?

漆は時間の経過とともに風合いが生まれます。我々はこれを「経年変化」と呼びますが、サビーヌのデザインは経年変化の表情を上手く捉えていると感じています。困難だったことは、テーブルの角が全て丸い点です。通常、座卓などの大きな物を塗る場合は面に塗る工程がありますが、今回は角が無い状態での塗装だったので大変難儀でした。

  1. 本コラボレーションは、現代的なデザインを取り入れつつも伝統を守るという観点で、川連漆器の今後にどのような影響を与えるとお考えですか?

川連漆器だけでなく漆器業界全体に言える事ですが、後継者不足が深刻な問題になっています。今回のコラボレーション商品を製作する事で、今よりもっと職人にスポットライトがあたり、職人を目指す方が一人でも増えてくれる事が産地を守ることに繋がっていくと考えております。

  1. 本コラボレーションの取り組みを通じて、どのようなパーソナルあるいはプロフェッショナルな気づきを得ましたか?また、それはご自身のもの作りや川連漆器の発展への考えにどのような影響を及ぼしましたか?

『産地を守る=職人を守ること』を中心に仕事をしてきましたが、実際は日々の仕事に追われるばかりで具体的な取り組みが行われていないことを痛感しました。川連漆器の原点であるモノづくりに今より一歩、真摯に取り組んで参りたいと感じました。

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