Interview with Artisan 加藤真雪

Interview with Artisan 加藤真雪

2026/06/03

(Interview)

  1. ユージン・スタジオのアプローチは、瀬戸染付焼に求められる精緻さと、どのように調和したと感じましたか?

今回の作品は、椅子に用いるタイルということで、非常に細かい図案を小さなパーツに描く必要がありました。普段以上の精緻さが求められましたが、その分、瀬戸染付焼の技術の強みが引き出され、スタジオの表現とも無理なく馴染んでいったと感じています。

  1. ユージン・スタジオのビジョンをかたちにするために、特に調整や工夫が必要だった技法はありましたか?

小さい椅子のパーツでは、わずかな濃淡の差で印象が変わるため、全体の濃淡のバランスが上手く行くよう心がけました。大きい椅子のパーツでは、呉須(ゴス)の色の濃さが作品の仕上がりを左右するため、濃み(ダミ)をコントロールするのに調整が必要でした。

  1. 抽象的な発想の解釈、新しいモチーフへの対応、筆づかいの調整などの中で、最も難しかったのはどの点でしたか?

最も難しかったのは、作品へのアプローチの違いです。私たちは通常、図面や完成形を思い描きながら、そこに向かって技術的なことやデザインの試行錯誤していきますが、ユージーン・スタジオは素材の可能性を探りながら試作を重ね、その結果をもとに次の段階へ進んでいくという進め方をされているように感じました。そうした中で、どのタイミングでどのように技術や技法を提案するべきかを見極めることが難しかったです。このアプローチの違いは、難しい反面、とても面白い点でもありました。

  1. 今回のコラボレーションは、染付の表現にどのような新しい方向性をもたらす可能性があると感じますか?

今回のコラボレーションを通して、染付の表現がこれまでとは異なる分野やアプローチの中でも活かせる可能性を感じました。従来私たちが行なっていたように、完成形に向かって作るだけでなく、素材の可能性や試作の過程から発想を広げていくことで、新しい表現へとつながっていくのではないかと思います。

  1. 本プロジェクトを通じて、瀬戸染付焼をこれまでとは異なる視点で捉えるような、新たな気づきはありましたか?

今回のプロジェクトを通して最も大きな気づきは、作品へのアプローチの違いでした。私たちはこれまで、磁器という素材や染付を“すでに知っているもの”として捉え、その枠の中でどのように表現するかを考えてきました。

一方でユージーン・スタジオは、まず素材そのものを知ることから始め、その面白さを見出しながら発想を広げていくというアプローチをされていました。その違いに触れたことで、これまで「コントロールするもの」として向き合ってきた磁器や染付という素材を、改めて見つめ直したいと感じるようになりました。

時間的・技術的な制約から実現に至らなかった試作もありましたが、そうしたプロセス自体が今後の発展につながると感じています。また、私たちは先人たちの研究や積み重ねの上にものづくりをしていますが、磁祖である加藤民吉達も同じように試作を重ねながら、現在につながる表現を築いてきたのだなと、あらためて実感しました。

眞窯・加藤真雪 (@singama.jp)

[Questions by Maria Cristina Didero]

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